「汚れが外壁に残りにくい」「塗膜がきめ細かく、汚れてもすぐ拭き取れる」といったことから、今低汚染塗料が注目されつつあります。あまり聞き慣れない名前ですが、そもそも低汚染塗料とはどんな塗料で、ほかの塗料と何が違うのでしょうか?この記事では、低汚染塗料の特徴をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
低汚染塗料とは
まず、低汚染塗料とは、どんな塗料なのでしょうか?ここでは低汚染塗料の概要について、まとめています。
■セルフクリーニング機能がある塗料
低汚染塗料は、セルフクリーニング機能がある塗料です。外壁に汚れが付着しても、雨が降った時などに雨水とともに汚れが洗い流され、自然と綺麗になっていきます。これをセルフクリーニング機能といいます。
■防汚塗料という呼び名もある
低汚染塗料は、構造上汚れが外壁に残りにくくなっている塗料です。その特徴から「防汚染塗料」とも呼ばれています。また、低汚染塗料は都内の一等地にある日本の代表的な建造物にも使用されており、高い信頼性がうかがえます。
ほかの塗料との違い
では、なぜ低汚染塗料は外壁に汚れが残りにくいのでしょうか?低汚染塗料における、ほかの塗料との違いについて見ていきましょう。
■親水性に非常に優れている
低汚染塗料は、ほかの塗料と比較して親水性に非常に優れています。親水性とは、水との馴染みやすさのことです。そして、排気ガスなど外壁に付きやすい汚れは「親油性」といって、油に馴染む傾向があります。つまり、親水性の高い塗料が外壁を覆うことで、水が油を弾くように汚れを馴染ませないのです。
■遮熱性が高い
実際に外壁に登って調査したところ、なんと低汚染塗料を塗った面はそうでない面と、比較して15.6℃も低いことが分かりました。このことから、低汚染塗料は遮熱性が高いといえます。真夏など、暑い季節に外気の侵入を防げるため、光熱費の削減にもつながるでしょう。
■塗膜がきめ細かい
車の排気ガスに含まれる、カーボンブラックを使った実験があります。この実験は、実際に低汚染塗料を塗った板とシリコン塗料を塗った板にカーボンブラックを塗布し、汚れの落ちやすさを比較しました。その結果、シリコン素材を塗った板は汚れが残ったのに対し、低汚染塗料を塗った板は、サッと拭き取るだけで汚れが落ちました。このことから、低汚染塗料の方が一般的な塗料より、圧倒的に塗膜がきめ細かいといえます。
低汚染塗料のメリット・デメリット
そもそも低汚染塗料が何なのか?そして、ほかの塗料との違いについて分かってきたところで、今度は低汚染塗料のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
■メリットについて
低汚染塗料のメリットは、いくつかあります。
・カビや藻の繁殖を抑えられること
・雨筋ができにくいこと
・汚れにくいことからメンテナンスコストを削減できること
また、12年~15年といった長い年月が経っても、一般の遮熱塗料よりも遮熱効果が低下しにくい、付加機能も期待できます。遮熱効果があると光熱費の削減をはじめ、外壁が熱膨張するのを抑える効果もあるのです。
■デメリットについて
逆に低汚染塗料のデメリットは、以下のとおりです。
・機能が優れていることから一般の塗料より割高であること
・効果を発揮させるため、高い技術を持つ職人の技が必要なこと
とりわけ同じ塗料でも外壁材によって相性があるため、なかには低汚染塗料が向かない外壁もあることも無視できません。「塗装できないケースもある」という点も考慮したうえで、外壁塗装に臨む必要があります。また、弾性機能がないため、弾性機能を持つ塗料と比べると、ひび割れが起きやすいのも事実です。
低汚染塗料の特徴を、ご紹介してきました。低汚染塗料は排気ガス・チリ・ホコリなどの付着を防ぎ、万が一、付着してしまった場合も空気中に含まれる水や、雨水と一緒に洗い流してしまう優れた塗料です。一般の塗料に比べると割高ですが、メンテナンス費用などを抑えられることから、長い目で見えば安いかもしれません。建物の景観を長く保ちたい、またはメンテナンスを楽にしたい人などは、低汚染塗料を検討してみるのもよいでしょう。